手や肘の痛み・痺れ
手や肘の痛み・痺れ
ばね指は、手の使いすぎによって指の付け根の痛みや動かしづらさが生じる疾患です。更年期の女性に多く、スポーツや仕事で指を多く使う方によくみられます。指の付け根にある腱鞘(けんしょう)と、その部分を通過する腱の間で摩擦が起こり、炎症が起こることで腱鞘炎(けんしょうえん)になります。腱鞘炎によって腱鞘が狭くなったり、腱が腫れたりすると、曲げた指を伸ばそうとした時にカクンとばねのように跳ねることがあります。この症状を「ばね指」と呼びます。親指、中指、薬指によくみられます。治療は、局所の安静、投薬、腱鞘内ステロイド注射などの保存的療法が行われます。ただし症状が持続したり、再発したりする場合には手術を検討します。
指先に物が当たったり、引っかかったり、また指をぶつけたりして起こるケガを、突き指といいます。この突き指には打撲や捻挫のほか、腱断裂や剥離骨折、脱臼も含まれます。診察や画像検査で正確に診断し、それぞれの病態にあった治療を行います。治療は、局所の安静、投薬、整復、リハビリテーションなどを行い、病態によっては手術を検討します。
指の第1関節が変形し曲がってしまう原因不明の疾患で、40歳代以降の女性に多く発生します。手を良く使う人にはなりやすい傾向があります。関節リウマチでは指の第1関節に症状が出ることは少ないため、第1関節の症状であればまずはへバーデン結節を考えます。治療は、投薬、局所のテーピング、関節注射などがあります。また、エストロゲン様作用を持つエクオールを摂取することにより症状の緩和が期待できるとの報告もあります。
女性に多く発症する病気です。初期には手指の関節の痛みを伴い、次第に色々な関節の腫れや変形、動きの制限が生じてきます。朝、指を曲げ伸ばしたときに、こわばりが起こることも特徴です。しばしば貧血や微熱などの全身症状も起こります。リハビリテーション治療はリウマチの時期によって異なります。痛みが強いときは、そのコントロールと局所の安静を図ります。痛みが落ち着くと関節の運動や筋力増強訓練などを行います。歩行訓練や日常生活のための訓練も行います。食事・着替え・入浴など、手助けとなる道具(自助具)を用いて日常生活動作ができるようにします。家事動作などの生活の工夫も必要です。
手首の親指側にある腱鞘(けんしょう)と、その部分を通過する腱に炎症が起こった状態をいいます。腱鞘のところでスムーズに腱が動かなくなり、手首の母指側が痛んだり、腫れたりします。母指を広げたり、動かしたりすると強く痛みます。妊娠出産期の女性や更年期の女性に多く生じます。また、手の使いすぎや、スポーツや仕事で指を良く使う仕事の人に多いのが特徴です。治療は、局所の安静、投薬、腱鞘内ステロイド注射などの保存的療法が行われます。
ガングリオンは袋のなかにゼリー状の物質の詰まった良性の出来物です。できやすい場所は手首の甲側・親指側や指の付け根の掌側です。通常は無症状なことが多いのですが、神経のそばにできると神経を圧迫してしびれや痛み、運動麻痺などを起こすことがあります。無症状なら、特に治療は必要ありません。症状がある場合には注射器で吸引したり、力を加えて押し潰したりします。再発を繰り返すときは手術を検討することもあります。
正中神経(せいちゅうしんけい)が手首の掌側にある手根管というトンネル内で圧迫され、手指にしびれや運動障害が出現する疾患です。原因不明であることが多く、妊娠・出産期や更年期の女性が多く生じるのが特徴です。そのほか、骨折などのケガ、仕事やスポーツでの手の使いすぎ、透析をしている人などにもよく生じます。手根管内に出来物がある場合にも症状が出ることがあります。局所の安静、投薬、手根管内腱鞘内注射などの保存的療法が行われます。症状が改善しない場合や母指球筋(ぼしきゅうきん)がやせてしまった場合、出来物がある場合には手術が検討されます。
CM関節とは親指の手前の骨と手首の小さい骨との間の関節です。この関節の使いすぎや老化による軟骨のすり減り・変形が生じた疾患をC M関節症といいます。この関節に症状があって、レントゲン検査で関節の隙間が狭くなり、骨の棘などがみられたら診断となります。治療は、投薬、装具療法、関節内注射などが行われます。症状が改善しない場合や痛みが強く、変形がひどい場合には手術も検討されます。
上腕骨外側上顆炎は、「テニス肘」とも呼ばれています。肘から前腕には、手首を動かしたり、指を動かしたりする筋肉が重なるように存在し、その中の一つに短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)という筋肉があります。テニスなどで同じ動作(主にバックハンドストローク)を何度も繰り返し、過度な負担がかかることにより、この筋肉に亀裂や炎症が生じて痛みが起こると考えられています。また、日常生活の中で毎日包丁を握る、パソコンやスマホの操作のしすぎで発症することもあります。安静時には痛みは少なく、「タオルを絞る」、「ドアノブを回す」といった手首を曲げたりひねったりする動作で、肘や前腕に痛みを感じます。治療は、投薬、装具療法、ステロイド注射、体外衝撃波治療、リハビリテーションなどが行われます。
肘部管症候群とは、肘の内側の部分で尺骨神経という神経が障害されて生じる疾患です。手指の小指側にしびれが生じ、進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と薬指が変形したりします。原因は、出来物による尺骨神経の圧迫や加齢に伴う肘の変形、子供の時の肘の骨折、スポーツでの使いすぎなどです。治療は、投薬、肘の安静、リハビリテーションなどが行われます。症状が改善しない場合や筋肉がやせてきてしまう場合には手術が検討されます。
野球肘とは、投球動作の繰り返しによって起こる肘の障害で、肘関節を保護している軟骨や靭帯、筋肉、腱などが損傷する病態の総称です。肘への負荷が過剰になることが原因で、痛みの部位によって内側型、外側型、後方型に分類されます。
内側型は、肘の内側に過剰な負荷がかかり、靭帯の牽引力によって腱や軟骨が損傷します。代表的な病態には内側上顆裂離骨折(ないそくじょうかれつりこっせつ)や内側側副靱帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)があります。
外側型は、肘の外側にある骨や軟骨が剥がれたり傷んだりします。代表的な病態には離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)があります。
後方型は、肘頭(肘の後ろの出っ張った部分)にストレスがかかることで、軟骨損傷や疲労骨折が起こります。代表的な病態には肘頭骨端線離開(ちゅうとうこったんせんりかい)や肘頭疲労骨折(ちゅうとうひろうこっせつ)があります。
治療では、投球を一時休止して安静に努めます。痛みが治まってきたら医師の指示のもと、競技への復帰と再発予防の観点からリハビリテーションを行います。
TOP