膝の痛み
膝の痛み
膝関節の軟骨が時間をかけてゆっくりすり減ることで、関節痛や変形が徐々に出てくる疾患です。また骨折、靱帯(じんたい)や半月板損傷(はんげつばんそんしょう)などの外傷、化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)などの感染が原因となることもあります。現時点ではすり減った軟骨は元の状態に戻ることはありません。90%が肥満、30%が抑うつ状態、15%が糖尿病を伴っているとされています。有病率はとても高く、全成人の24%が罹患(りかん)し、60歳以上では男性の9.6%、女性の18%に症状があるといわれています。また、65歳以上では加齢とともに発症率が増加するといわれています。治療は投薬、関節内ヒアルロン酸注射、運動療法、装具療法などを行います。これらの治療でも症状が改善しない場合には手術を検討します。手術を検討される場合には専門医をご紹介いたします。
半月板は、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間に存在する繊維軟骨(せんいなんこつ)の板です。半月板はアルファベットの「C」に似た形状で膝の内側と外側にあり、膝のクッションとして機能し、周辺の関節軟骨を保護する役割を担うほか、膝の安定化や脚の屈伸もサポートしています。この半月板が傷ついてしまった状態を半月板損傷といいます。スポーツで、ジャンプしたときの着地に問題があった場合や、サッカーやバスケットボールなどで急な切り返しをしたときによく起こります。ときには前十字靱帯の損傷に伴って、半月板も一緒に損傷する場合もあります。また半月板は加齢とともに変性するため、中高年になると急ぎ足や段差を越えたときなど、ちょっとした動作でも損傷することがあります。変形性膝関節症に伴って内側の半月板損傷が起きる場合もあります。保存的治療では投薬、関節内ヒアルロン酸注射、運動療法、装具療法などを行います。一方、スポーツなどの怪我によって生じた半月板損傷や保存的治療で改善しない場合には、関節鏡を用いた手術治療を行うことがあります。
前十字靭帯は、膝関節の中心部で大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)をつなぐ、強靭なコラーゲンの繊維束(せんいそく)であり、後十字靭帯と十字に交差して膝関節を支えています。脛骨が前へずれないように機能するとともに、膝関節が滑らかに動くように補助する役割を担っています。この靭帯が損傷、または断裂することを前十字靭帯損傷といいます。ラグビーや柔道で、選手同士の接触により膝を強くひねったり、バレーボールやバスケットでのジャンプ着地時に強い衝撃を受けたり、サッカーやバスケットでの急な方向転換などが原因で起こります。スキーの転倒などでも発生します。通常、1ヶ月程度で日常生活に支障がない程度まで改善がみられますが、断裂した部分はそのままの状態です。治療をせずに放置してしまうと、歩行障害や膝がガクッと崩れる“膝くずれ”という症状を起こしやすくなります。半月板や軟骨の損傷を招き、変形性膝関節症に発展してしまうこともあります。このようなことがありますので、痛みがなくなったとしても、軽視せずに整形外科できちんと治療することが大切です。またスポーツ復帰できる程度まで運動機能を回復させたい場合は手術をすることが多いです。手術後は早い段階から可動域・筋肉訓練やリハビリテーションを行います。
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