リウマチ科
リウマチ科
リウマチ科は、関節リウマチをはじめとする膠原病(こうげんびょう)を扱う診療科です。膠原病は全身の臓器に炎症をきたし、様々な症状が現れてきます。共通してみられる症状は関節の痛みで、関節が腫れたり、熱を持ったりすることもあります。膠原病の多くは原因不明の難病で、以前は完治の難しい病気とされてきましたが、近年は新たな薬の開発や治療法の進歩により、ほとんど症状がみられなくなる「寛解状態」を目指せる疾患もでてきました。とくに関節リウマチは、関節の変形と破壊を引き起こして徐々に進行していく病気ですが、早期の診断と抗リウマチ薬や生物学的製剤、JAK阻害薬を中心とした適切な治療によって、関節の炎症も治まり、通常の日常生活を送ることができる時代になっています。関節リウマチは膠原病の中で最も患者数が多い病気です。関節痛が続く、起床時に関節がこわばる、手指・手首・足の関節に腫れがみられるといった症状があれば、ぜひご相談ください。
このような症状の方はご相談ください
関節リウマチの検査には血液検査と画像検査があります。
免疫関連 | リウマトイド因子(RF)、抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)、MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ‐3)、免疫グロブリン |
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炎症関連 | CRP(C反応性タンパク)、ESR(赤血球沈降速度[血沈、赤沈]) |
貧血関連 | 赤血球、Ht(ヘマトクリット)、Hb(ヘモグロビン[血色素量])、血小板 |
リウマチ以外の病気と鑑別するもの | 抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、抗核抗体(ANA) |
感染症関連 | HBs抗原、Hbc抗体、HBs抗体、HCV抗体、HIV抗体、T-SPOTなど |
X線検査(レントゲン検査) | 基本的な画像検査で、関節や骨の状態を確認します。 |
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関節超音波(エコー)検査 | 関節の炎症をリアルタイムで確認することができます。骨の破壊もみることができます。 |
MRI検査 | 骨の状態を高感度に確認でき、滑膜や関節の周りの筋肉や靭帯、軟骨といった骨以外の組織の炎症や腫れを確認することができます。 |
関節リウマチは膠原病の中で最も多い疾患です。免疫の異常により関節の中に存在する滑膜に炎症が起こり、それが増殖し、骨や軟骨を破壊します。放置すると関節が破壊され、日常生活に支障をきたすこともあります。主な症状は、関節の痛み、腫れ、朝のこわばりなどです。手足の指、手首に症状を認めることが多いですが、肘、肩、膝、足首などにもみられます。また、全身倦怠感や微熱、食欲低下などの全身症状や、皮膚(皮下結節など)、眼、肺など、関節以外の症状が出ることもあります。近年、関節リウマチの治療は大きく進歩しており、骨および軟骨の破壊を積極的に抑える薬としてメトトレキサート、さらに骨破壊を強力に抑制する生物学的製剤やJAK阻害が導入され、寛解状態を目指せるようになっています。関節リウマチは早期の診断・治療がとても重要です。少しでも気になる症状があれば、ぜひ一度、受診ください。
頚部(くび)、肩、腰部、大腿などに痛みやこわばりを生じる原因不明の炎症性疾患です。こわばりや痛みで「痛くて寝返りがうてない」「痛みやこわばりで起き上がれない」「肩や腕があがらなくなった」などの症状が現れます。関節痛は手指や足趾(足の指)などの小関節よりも肩や股関節などの大関節にみられ、関節の腫脹は比較的少ないことが、関節リウマチと異なる点です。全身症状としては発熱、全身倦怠感、食欲低下、抑うつ状態、体重減少を認めます。血液検査では炎症反応が高値となります。治療の第一選択薬は副腎皮質ステロイドです。
乾癬(かんせん)という皮膚疾患に合併する病気で、関節や腱付着部、指に炎症をきたす病気です。原因は不明で30〜50歳代に多く、男女比はほぼ同じです。日本人では乾癬の患者さんの10~15%に発症するといわれています。乾癬性関節炎では乾癬の皮膚病変を多く認めます。乾癬は、髪の生え際や肘、膝、でん部などに多く出現し、発疹と、銀白色のフケのような鱗屑(りんせつ)を認めます。治療は病気の進行抑制をしながら、日常生活の質を上げることを目標に進めます。
脊椎関節をはじめとする胸鎖関節(きょうさかんせつ)、仙腸関節(せんちょうかんせつ)などの体幹部の関節と、手指関節などの末梢関節に炎症が生じる病気です。炎症性腰背部痛(安静で軽快せず、むしろ運動で改善する腰痛・背部痛)が脊椎関節症に特徴的な症状の一つです。また手指・肩などの痛みや腫れ、こわばりといった症状も伴います。発熱や倦怠感を伴うこともあります。進行すると関節の動きが悪くなり、「背中が曲がらない」「首が回りにくい」といった症状が現れます。関節の柔軟性がなくなり骨折をしやすくなります。できるだけ早い治療介入が必要な病気です。炎症性背部痛を疑う腰痛がある場合は、早めにご相談ください。
全身の様々な臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患で、関節、皮膚、腎臓、神経などを中心に症状が現れます。原因は不明で、20〜40歳台の女性に発症しやすいとされています。発熱、全身倦怠感などの全身症状、関節痛、皮疹、光線過敏症、脱毛、口内炎など多彩な症状がみられます。最も特徴的なのは蝶形紅斑と呼ばれる両側の頬部と鼻に広がる皮疹です。当クリニックでこの疾患の診断となった場合には、専門医をご紹介いたします。
全身性の自己免疫疾患で涙や唾液を作っている臓器に炎症を起こします。原因は不明ですが40〜60歳台の女性に発症しやすいといわれています。症状としては、目の乾燥(ドライアイ)、口腔乾燥(ドライマウス)が挙げられます。乾燥症が主体となりますが、全身倦怠感、関節痛、皮疹、光線過敏症、間質性肺炎、神経障害、腎障害、筋症状、血液検査異常なども生じることがあります。現状、根本的な治療法は確立されておらず、ドライアイに対しては点眼薬や局所治療、ドライマウスに対しては内服薬やうがい薬、唾液腺マッサージなども行われます。当クリニックでこの疾患の診断となった場合は、専門医をご紹介いたします。
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